福島出張 ~縫製工場についてちょっと~
どうも、下田(@shotarouzaemon)です。
10/19~20で福島にシャツ工場の視察に行ってきましたので、そのことについて書こうと思います。
行き方
今回は三菱自動車の試乗キャンペーンを使って行ってきました。
初めての電気自動車だったのですが、静かで、乗り心地がよく、快適な旅でしたが、福島って遠い。。
2時間ぐらいで行けると思ってたんですが、首都高での渋滞もあり、3時間半もかかりました。
なぜ福島なのか。
なぜ福島まで行ったのか。日本にはたくさんの産地と呼ばれる場所が沢山あります。「今治タオル」で知られている今治産地も繊維産地の一つです。こういう産地が日本には多くあります。
その中で、福島は伊達ニット(編み)も有名なのですが、シャツの縫製工場が数多く存在する地区なんです。
縫製業界だと、「シャツを縫ってくれる工場さんを探している」といえば、その答えには「じゃあ福島だな」と返ってくるくらいです(福島の人はちゃんと覚えておいてくださいね、ままどおるだけじゃないです)。
みなさんが着ているワイシャツが日本製であれば、福島で縫われている可能性が高いですね。
というわけで、僕らも次のシーズンに向けてシャツの展開を考えているので、その縫製工場さん探しに福島に行ってきました。
縫製工場について
もう少し、縫製工場さんについて話すと、日本の縫製工場というのは伝統的に、アイテムごとに工場が作られていきました。
例えば、スウェットやパーカーを縫う工場、パンツを縫う工場、シャツを縫う工場が一つということはなくて、どれかに特化して縫製されているのが日本の縫製工場さんの特長です。
だから、福島に行けば、「シャツ一筋50年でやってます」という工場さんしかないので、スウェットやパンツを縫製することできないんです。
それはなぜかというと、まず技術的な面です。これは同じものを縫っているほうがどんどん品質が上がっていくということです。これはみなさんにもわかると思うのですが、一週間毎日違うスポーツをちょっとずつ練習するよりも、一週間毎日野球を練習するほうが、野球がうまくなるスピードは高くなっていきます。それと同じで縫製でもある日はパンツ、ある日はシャツを縫っている工場よりも毎日、何年、何十年シャツを縫い続けている工場さんの方がシャツをキレイに縫うという部分に関して言えば、優れているわけです。
もう一つの理由は、設備的な面です。みなさんの家にあるミシン。これは縫製業界だと「家庭用ミシン」と呼ばれていて、なんでも縫えるオールマイティーなミシンですが、なんでも縫える代わりに強度弱かったり、縫い方の制限があったりして、何年も着られる服を作ることはできないんです。そこで、縫製工場さんにあるミシンは「工業用ミシン」といって馬力も全く比にならないくらいものなんですね。縫い方は一つに一台用意されていて、縫うアイテムによって準備するミシンが違うので、全てのアイテムを全部作れる工場にしようとすると、資金が尋常じゃなくなってしまいます(一台30万とかなので)。少し、自分の服を見てみるといろんな縫い方があるのがわかると思うので、時間があるとき、見てみると面白いかも。
この2つの理由が縫製工場さんがアイテムに特化して縫製をしている理由です。日本には特化型の工場さんが多いので、品質が高いものができる=MADE IN JAPANの評価が高いということになっているのかと思います。
※日本以外にも中国、ASEAN諸国でも一つのアイテムに特化して縫製している工場さんもあるし、「何でも縫います」という言う工場さんもあります。国で品質が高い低いはあまりなく、経営者がどういうビジネスをしていきたいかが結構影響していると思います。
「少し汚いと気になっちゃって、すぐ直しちゃうんです。」
今回の伺った工場の技術主任の方がおっしゃられた言葉です。縫製って人力なので、縫製する人がどんな気持ちでその仕事をするかが本当に大事です。
この言葉の汚いって普通のお客さんじゃ、わからない汚さなんですよ。でも僕らが言われて初めて感じる縫製のミリ単位のズレなどが縫っている工員さんは凄い気になるそうです。
それは、技術に自信があるからだと思います。誰も気づかないかもしれないそのズレにプライドを持って縫っている人たちがいる。自分が追い求めている品質に対して厳しくて、そのズレを許すことができない。
縫製工場は生地を服の形に切る人、縫い合わせる人、検査する人、アイロンをかける人、そしてそれも管理する人。たくさんの人が関わってやっと1枚の服になるんです。
そこに関わる一人ひとりが誰か一人でも妥協をすれば、品質は落ちていきます。そこをどうやって全員で共有していくことができるか。それができている工場さんこそが、初めて品質が高いと胸を張っていけるんじゃないかと思います。
そういう人たちと仕事がしたいとしみじみ思いながら、帰路につきましたとさ。
それでは、また(腰が痛い)。